iPS細胞によるノーベル賞 ― 2012/11/08 20:54
遺伝子の中に、細胞があらゆる細胞に分化するための設計図がある。その設計図は分化した後も細胞の中に残っている。その発見がジョン・ガートナーが共同受賞をした理由。
実際に細胞の分化を起こさせるためには、細胞の「初期化」を起こさなければならない。そして、この初期化を誘導する因子、遺伝子を探す必要があるが、候補は数万もあった。ちょうどその時に、偶然に理化学研究所の林崎先生がネズミの遺伝子がどこに働いているかというデータベースを公開した。そのため、初期化因子の候補は数百に絞られることになった。
さらに、これを24個まで絞り込んだが、これからが難関だった。どの遺伝子が関係しているかしらみつぶしに調べていくと、関係している遺伝子の数もわからないため、組み合わせは膨大な数になる。ここでポスドクの高橋学生が、逆転の発想で、組み合わせるのではなく、全体の24個から1個ずつ抜いて、どの遺伝子が関係しているか特定していくという考え方を提案する。これによって、4個の遺伝子を特定することが出来た。たった4個だった。
そして、その遺伝子を使ってiPS細胞を作れることを何度も確認した。これによって、山中教授は、この遺伝子を使えば細胞を初期化してiPS細胞を作れることを実証した。(NHK サイエンスゼロより)
ハリケーン「サンディ」 ― 2012/11/02 22:31
ハリケーン「サンディ」
10月末にハリケーンサンディがアメリカ北東部を襲った。強風や高潮で被害が出た。カリブ海やカナダでの死者を合わせると150人以上が亡くなったらしい。ニューヨークを含む広域で大規模な停電も起こった。
ニューヨーク付近に住む一部のアメリカ人はこんなこと初めてと騒いでいるようだが、実はそうではない。ニューヨーク付近は、過去にもハリケーンに襲われている。有名なのは1821年のグレート・セプテンバー・ゲールと名付けられた嵐である。当時はまだハリケーンという言葉は一般的でなく、ハリケーンなどによる強風はゲールと呼ばれていた。このハリケーンによる高潮でハドソン川があふれマンハッタンは水浸しになり、やはり大きな被害を出している。
当時は、ハリケーンなどの嵐は構造を持って移動するということもわかっていなかった。そして、このグレート・セプテンバー・ゲールをきっかけに、ハリケーンのような暴風雨の構造の研究が始まった。その記念碑的なハリケーンが、今回のサンディと似たコースを取っているのだ。
三浦雄一郎について ― 2012/10/17 20:58
三浦雄一郎について
三浦雄一郎の名前は、昔から知っていたが、私はあまり体育会系に興味がないので、単なる物好きな冒険家くらいにしか思っていなかった。しかし、NHKの仕事学のすすめを見て、本当の姿を知った。人を統率するリーダーとして、自身の危機を乗り越えた体験に基づいた、すばらしい考え方を持っている。
本人もかつては引きこもりだった。父や大学生と一緒に冬の蔵王に2週間行ったら、その後、教室のみんなが小さく見えたと言っていた。そして、現在、高校の校長をしている。生徒をヒマラヤなどに連れて行って、自然の中で挑戦させている。生徒に、実際に自然に挑戦させて、アドバイスし、乗り越えさせると、生徒は別人のように自信を持つようになる。これを実地に指導できる人間はざらにはいない。
本人も、現在、来春80才でのエベレスト登頂を目指している。そのため、毎日20キログラムを背負って2時間歩いている。さらに、自分で高所トレーニング室を持っている。高山で眠れるようにするためとのことである。これはよくわかる。私も富士山頂で、高山病のため眠れずに苦労した。夢を持って挑戦することの大切さを身をもって証明している。とにかく、すばらしいリーダーシップ、行動力、忍耐力、そして体力と経験を持った希有の人であった。
日本の氷河 ― 2012/10/15 20:06
日本の氷河
サイエンスゼロより。
日本で氷河が見つかったらしい。もともと氷河はその99パーセントが極地かヒマラヤにある。それ以外にある氷河は数少ないのに、温帯にある日本で見つかったのは珍しい。あった場所は立山連峰である。ここの御前沢雪渓や三ノ窓雪渓は氷河であることがわかった。氷河と雪渓の違いは、底が氷で出てきていて、流れ下ることだと思う。もちろん、継続して存在するためには、氷河が動いた分、上流で作られなければならない。三ノ窓雪渓も年間に31センチ流れるそうである。そしてその深さ。地中レーダーで調べると深さは実に50メートルもあるらしい。
日本で氷河が出来るのには、特別な理由がある。それは多雪地帯だと言うことである。立山連峰の雪の量は、雨に換算すると年に3000ミリメートル。これはヒマラヤの10倍だそうである。また、風が強いため、風上の雪が風下の尾根に吹き溜まる。さらに雪崩によって、谷底に雪が集まるのだそうである。そうやって集まった雪の高さは年に30メートルにもなり、底は圧力で、氷になる。さらに夏の暑さで上層の雪は解けて水になるが、これが下層の雪に入ると氷になりやすいそうである。これらが、日本で氷河が出来る特殊な条件らしい。
また、最近氷河に藻類が発生することがわかった。これを雪氷藻類という。立山でこの雪氷藻類が大繁殖していることがわかった。これは氷河に色をつけて、太陽光の吸収を変えるため、地球環境にも影響を与える。グリーンランドで近年氷河が減っているもの、ひょっとするとこれが関係しているかもしれない。立山は地球環境の研究でも貴重な場所になるかもしれない。
ボッティチェリ 「ビーナスの誕生」 ― 2012/10/09 20:52
ボッティチェリ 「ビーナスの誕生」
この絵は1483年ころにボッティチェリによって描かれた。左側に西風の神、ゼピュロスとその妻フローラが、貝に乗ったビーナスを陸に吹き寄せている。陸では時の神ローラが、絹のローブを持って、ビーナスを待ち受けている。この絵は、典型的なルネサンスの絵であるが、当時は絵といえばキリスト教の宗教画が主流であり、そういう観点でみれば、極めて異色な絵である。当時、ギリシャの文献が翻訳され始め、それまでの、キリスト教中心の文化から、ギリシャの自然を基調にした文化がヨーロッパでもてはやされるようになった(それがルネサンス)。ギリシャ文明はキリスト教文明を補完すると考えられたのだ。この絵も、ギリシャ神話をモチーフにしている。
通常、地上に降り立った神々は、衣服をまとっているが、このビーナスは裸であり、そのため、天上のビーナスと理解されている。なぜ、天上のビーナスなのか。当時、ボッティチェリのパトロンは、メジチ家のジュリアーノ・メジチであった。そのジュリアーノ・メジチは、当時ポルト・ヴェネレ生まれの美女、シモネッタと愛人関係にあった。そして、ボッティチェリもシモネッタをモデルとして、絵を描くようになる。ところが、彼女は23歳という若さで死んでしまう。また、ジュリアーノも暗殺されてしまう。
ボッティチェリは、このシモネッタをモデルにして、ビーナスの誕生を描くことを決心した。この絵の構図は、キリスト教の洗礼という絵の構造を引用している。キリストは洗礼によって、生まれ変わった。同様に、この構図を使うことで、シモネッタは天上のビーナスとして、生まれ変わったのである。なぜ、ビーナスであろうか。それはシモネッタの生まれ故郷が、ポルト・ヴェネレ(ビーナスの港)という町名だったからと言われている。
ボッティチェリは、この絵でシモネッタに再び命を吹き込んだ。しかし、その後のメジチ家の没落により、ボッティチェリの晩年も不遇のうちに亡くなった。
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