浮き世2012/07/10 22:37

浮き世

 

浮き世とは、平安時代からある言葉だそうだ。もっとも当時は憂き世であって、極楽浄土と対比させて現世の憂いを示したものだったろう。それがいつしか享楽的な現世を示す浮き世という言葉に変わってしまったらしい。いかにも時に任せて浮かびながら流させるイメージを想像させる。

 

ところで、浮き世の英訳はfloating worldだそうである。Floating=「浮く」であるから、いかにも直訳のようにも見えるが、実はもっと奥が深い。Floatとはもともとギリシャ語の流れる意味であるfluereという言葉とつながっている。Fluid(流体)やfluent(流ちょうな)などの言葉とも近い。流感もfluである。するとfloating worldとは、浮きながら流れに身を任せる世界という意味になって、なるほど、日本語の浮き世のニュアンスとかなり近い。意外に、英語の感覚と日本語の感覚が近い場合があるのかと感心した。