砂漠と溺死2012/08/18 09:16

砂漠と溺死

 

吉野正敏の「風と人々」は、風という視点を通じて人々の暮らしを紐解く興味深い本である。この本を読んでいて、砂漠で溺死者が出るということに驚いた。アジアのゴビ砂漠のような砂漠では1年間に雨が全く降らないというわけではない。1年のうち1日とか数日間だけ数十ミリの雨が降る。すると、樹木があるわけでもないので、降った雨はそれほど土壌に保留されることなく、そのまま川を作って流れ下るそうである。1年のうち、1日とか数日間だけ、突然砂漠に広大な川が出現するというわけである。ところが、街道などは川の跡などの比較的低いところを通っている。旅の途中で街道で野宿する人もいるらしい。すると、寝ているところで降っていなくても、上流で降った雨で、寝ているところが突然川になってしまうそうである。川幅も日本の規模で考えてはいけない。突然大水に囲まれて逃げることができず溺死するそうである。砂漠という雨が降らないところだからこそ起こる水害と言えようか。