水蒸気と突風2012/05/09 20:58

水蒸気と突風

 

5月6日に茨城県や栃木県で竜巻が起こって死者を含む大きな被害が出た。一般的に言うと竜巻のような突風には積乱雲が大きく関係している。雲というのは大気の動きを可視化したものだから、空にそびえ立つ積乱雲はまさに激しい対流が起こっていることを示している。そして、(竜巻のことはまだよくわかっていない部分があるので、置いておいて)積乱雲だけとれば、その運動源は基本的に水蒸気である(発達のトリガーには寒気の流入など別なエネルギーも関わってくるが、ここでは簡略化のために省略する)。

 

水蒸気が(何らかの要因で)持ち上げられて膨張すると、その結果冷えて気体でいられなくなった余分な水蒸気が凝結して水滴に変わる。その際に放出された潜熱がさらに空気を暖めて動かし、突風などのエネルギー源となっている。水蒸気が突風のすさまじい破壊力の源になっている。

 

ところで、液体の水を(化石燃料を燃やすなどして)加熱して気体の水蒸気に変えると、一気に体積が膨張する。この水が持つ相変化の特徴が、熱機関に応用されて蒸気機関になった。水というのは、熱と力を相互に変換するのが得意らしい。地球は水の惑星とも言われる。太陽からの熱と豊富な水は自然の恵みでもあるが、ある条件が揃うと恐ろしい牙を剥く。これは地球の持っている宿命というものであろう。

 

なお、積乱雲による雨のように、大量の水蒸気が一気に凝結すると、体積も急速に収縮するはずである。それまであった水蒸気分の気体が無くなってしまうわけだから圧力も急激に下がろうとすると思われる。これもさらなる風を呼び込む原因になっているかもしれない。

 

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